健やかな未来社会へ、いま私達にできること

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20周年を迎えて

The Long and Winding Road 2016

 私ども珠泉会にとりまして、今年2016年は法人創設から20周年の節目の年となります。


 創設当時、それまでの医療現場における実体験から、豊かで健やかな未来を願い「ミッションステートメント」における基本理念を定め、その実現に向け努力邁進することを心に誓いました。しかし、いまこの20年間を顧みれば、創設当時に思い描いていた未来とは似て非なる現実が目の前に横たわり、進むべき道を阻んでいるかのような閉塞感に苛まれています。


 むろん20年間、日々の職務に忙殺され、勝ちとらねばならぬ未来を見失ってきたわけではありません。近年は国の目指す地域包括ケアシステムの構築に微力ながら寄与すべく、私どもの主商材たるヘルスケアサービスの質的向上と、積極的な多岐に渡る事業拡大にも鋭意取り組んでまいりました。


 しかし、「それでも何かが違う」「何か見誤っていたのかも知れない」、そんな想いを日を追う毎に強く抱くようになりました。


 問題の本質は、遥か以前から内在していた少子高齢社会問題に対する、社会全体のリソース配分の誤りにあり、翻って我々事業者は、行政リスクを回避するために未来を捨て、場当たり的なオペレーションに不覚にも舵を切ってしまったことであります。


 そもそも私たちは人として生まれ、人として生き、そして人として消えいく運命を背負った生き物です。この「人として」を誰からも教えられることもなく、自然と心の奥深くに自覚できるのは、私たちの「いま」が過去から連綿と繋がる系譜途上の「いま」にあり、それを以て「人として」の自覚と責任が自然と想起されるからだと考えます。


 かつて、我が国における明治維新や、二度にわたる大戦の復興途上にて、先人たちが素晴らしき未来を確信し、努力を積み重ねてきた根底には、正に逆説的な意味で「後生畏るべし」との期待や希望と、そこに馳せる祈りがあったに違いありません。いま私たちは、そうした先人たちの思いを「人として」裏切ってはいないだろうか。来るべき未来に対して「人として」裏切ろうとはしていないだろうか。そう感じざるを得ない日々を過ごしてきました。


 そのような中、2011年3月東日本大震災を機に発足した、日本創生会議によって2015年6月に提言された、「東京圏高齢化危機回避戦略」の内容に大きな不安と衝撃を受けた一方で、それまで霞んで見通すことができなかった道先に、微かながらも自らの使命感の光を見出すことが出来ました。
 医療・介護が施しとの恥ずべき概念から解き放たれたいまだからこそ、私たちはそうした既成概念に囚われた、いわば職業病のような価値観の衣を再度脱ぎ捨て、歩んで来た道程を省みつつ、イデオロギーや思想・宗派の垣根を越えた、「人として」未来を創造し繋げていくためのパラダイムシフトを必ずや実現しなければならないのです。


 創設から20年目を迎えたいま、私たちはひとたび立ち止まって足下を見つめ直し、私ども法人の組織理念である「人と社会のケアを通じて、健やかな未来社会を創造する」べく、包括ケアシステムなどと言った制度や概念に囚われず、来るべき未来社会を「人として」真正面から見据え、リスクを恐れずに微力ながらも民間医療法人として、「誰もが輝ける未来社会の創造」を推し進める決意をするに至りました。


 今年1月、栃木県那須町の、湯治場として全国的に名を馳せる芦野温泉と協調し、ホテル正面の最良立地にて、クリニック・訪問系サービスを併設した自立型シニア住宅と、サービス付き高齢者向け賃貸住宅の事業プロジェクトを2017年夏のオープンをめざしスタートさせました。これは私どもが提案する日本版CCRC事業のファースト・ステップであると同時に、「人として」未来へ繋ぐ「新たな価値の創造」事業でもあるのです。その実現に向け今後も努力邁進すると同時に、現状における医療介護事業を通じた社会保障基盤づくりに対しても努力を怠ることなく、果たすべき責務を全身全霊をもって全うすることを、ここにお約束いたします。


 皆さまには、倍旧のご支援・ご指導・ご鞭撻を今後とも賜りたく、心よりお願い申し上げます。


2016年9月
医療法人社団 珠泉会
医療法人社団 修永会
理事長・CEO 市村義久